
実店舗を持つ経営者は、店舗をどこまでコントロールできているでしょうか。
その程度は、店舗に入った瞬間の雰囲気から手に取るようにわかります。
雰囲気は、「気」という文字の示すとおり、店舗の内装やデザインによって表現される以上に、あることによって醸し出されています。
あなたも経験として、流行が去って売上が下り坂の店に入ると、空気が淀んでいるのを感じたことがあるでしょう。
おしゃれな店であるとか、豪華なつくりであるとか、そんなこととは関係ないのです。
銀座など都心の店舗に入った時でも、空気が薄汚れているように感じる店は、隅々まで清掃が行き届いていません。
どんよりと曇った雰囲気が支配しているのがわかります。
いい加減な拭き掃除を続けた結果、物理的にも雰囲気的にも、店全体が輝きを失っているのです。
スタッフが手を抜いているのが明らかなのですが、店舗にいる責任者は気づかないのでしょうか。
企業の規模やチェックの仕組みにもよりますが、こうした運営実態を経営者が把握できていないのは残念なことです。
右肩上がりの経営者の実態
好調な業績を続ける企業では、経営者が実に身軽に動きます。
自社の店舗には、どこと言わず常に抜き打ちで、しかも頻繁に訪れますので、それぞれの店舗は緊張感をもって運営せざるを得ません。
本来は、そんな抜き打ち訪問がなくても、きちんと隅々まで磨き上げ、店内を整えて営業するのが当たり前であり理想ですが、現実にはそうならないことを、経営者が十分にわきまえているのでしょう。
経営者の目が光っている状態では、否応なしに、店舗の責任者が気を引き締めて、日々の改善を怠らない体制が保たれます。
数字を見るだけではわかり得ない多くの事実が現場にはあります。
どのような業種にせよ、社長室で管理職から報告を受けるだけでは、正しい情報に基づいた判断は不可能です。
経営者が想定している基本的な店舗運営と、現場の実態とがかけ離れていたら、どんな施策も不発に終わるでしょう。
基礎が崩れている経営には、何も積み上げることができません。
あなたは、自社の店舗をいつどのように点検していらっしゃいますか。
それは経営者の仕事として、継続的に組み込まれているでしょうか。
古い時代には、城の奥深くにいて、優秀な配下の者に耳目となってもらい、常に微細なところまで情報収集し、確かな決裁を成した聡明な王もいました。
しかし現代は、昔とは時間の流れがあまりに違います。
ビジネスはスピードが命、と言われるこの時勢、王である経営者は自ら外に出て、我が目でものを観なければならないのです。
追伸:
聡明な経営者は
この方法で目を届かせています。

脇田 優美子
