
もしあなたが、はやりすたりの激しい事業を行っているのなら、経営者として、お客様に飽きられる前に手を打つことを、しくみとして築いておかなければなりません。
流行によって成り立つ業界におけるビジネスの鉄則は、対応スピードに尽きるところがあります。
消費者の飽きが来る前に、次なる価値、新しい価値の提供を準備し続けなければ、変化に振り落とされてしまうのです。
果敢に決断し、スクラップアンドビルドを止めないことです。
欲求の必然
経営者にとって、手がけてきた事業から撤退する決断は難しいものです。
資金と時間と人を投入した、思い入れのあるビジネスですから当然です。
過去に上手くいっていたのならなおさら、テコ入れすれば再浮上するのではないか、と改善に力を入れたくなるのも理解できます。
けれど、流行の激しい業界、お客様の好みや欲求が移ろいやすい業界では、現状に留まる選択は危ういのです。
人間の欲求は、常に新しいものに向かっています。
新しいというだけで飛びつくくらい、次々と新しいものを追いかけます。
普遍的な本能に根ざす心理なのです。
仕込みとしくみ
こうした消費者心理をわきまえ、経営者は既存事業の衰退の兆しを察知する前から次のアイディアを用意し、入れ替えタイミングを図っておかなければなりません。
飽きられ始めた現状にテコ入れしてしのぐとしても、その一方で、流行りがピークを過ぎる前に新たな価値を見つけ、仕込んでおかなければならないということです。
流行りものを扱う事業において重要なのは、必然的に、新規事業アイディアということになります。
そのための情報収集は、思いついた時、ついでの時、たまたま良い話を耳にした時、などの偶然に頼っていては無理でしょう。
経営者の情報収集はしくみにする必要があります。
業界紙や競合だけでなく、他業界のアイディアを集める方法を決め、日々継続することが大事です。
また、実際に他業界を見て回ることも非常に大切なことです。
消費者の動向や、社会の移り変わりは、データから読み取るだけでは足りません。
現場で感得できることは本当に多いのです。
経営者だからこそ、現場で顧客体験することは判断を下す際の大きな助けになるでしょう。
消費者の行動、現場が醸し出す雰囲気など、生の観察から得た体感をデータと読み合わせ、新規事業モデルを練り上げるヒントにしましょう。
いずれにしても、スピーディに新規の価値提供を可能にするしくみを、経営者はつくっておかなければならないということです。
追伸:
先を見通したい経営者は
まず、この鉄則を知ってください。

脇田 優美子
