
経営者は、「自分はどのようなリーダーとして生きるのか」という明確なイメージを持っておく必要があります。
リーダー像として、ここに2つの典型があります。
一方は、飴とムチを使い分けるリーダーです。
これは、他者を操作するやり方と言い換えることもできるでしょう。
飴とムチの手法は、根本的に、相手に対する敬意を欠いています。
それでも短期的な成果を上げることはできますが、その効果が長続きすることはありません。
人は本能的に、自分が操作されていることに気づくものです。
それを快く感じる人は少なく、面従腹背がはびこります。
そのため、いつまで経っても自ら動いてくれるような社員が育たず、会社の成長に結びつかないのです。
自分の意志で動く
もう一方の、人が奮起するリーダーは、飴もムチもちらつかせることなど一切しません。
このリーダーは他者に感銘を与えることによって、相手が自ら望んで「この人についていきたい」と願う状態を作り出すのです。
このようなリーダーにつき従う人々は、褒美や報酬などで惹きつけられるのではありません。
むしろ、困難な状況や不利な環境がよけいに発奮材料になることさえあります。
「あなたを助けたい」
「あなたとともに生きたい」
「あなたと一緒に理想を実現したい」
という思いが発露するのです。
あなたという人間に対する帰属意識が芽生え、自分の意志で動いてくれるようになります。
明確に目指す
自分の思い通りにすることを狙って、策によって人を動かそうとしているうちは、誰のことも鼓舞するリーダーにはなれないでしょう。
社員を動かそうと考えるよりも、経営者が自らのあり方を変えることが先決です。
他者が押し立てたくなるような人間に、あなたがなるのです。
そして、あなたがより魅力的な人間に変わりつつあること、この先もより良く変わっていくことを、言葉と態度で積極的に示していくことです。
そうすれば、社員のあなたに対する憧れが増し、これまで以上に信頼を寄せ、忠誠心が高まっていくことでしょう。
歴史上では、徳川家康がこのようなリーダーの典型です。
家康ははじめから立派な主君だったわけではなく、そうなろうと目指してそうなっていった人物です。
高い忠誠心を持つ家臣たちに守られ、盤石の体制を築くに至ったのは、飴とムチを超えた意識で生きるようになってからです。
経営者は、社員や協力者の奮起を呼び覚ますリーダーになるべく、努力を重ねていきましょう。
あなたのその生き様が、さらに多くの人々の力を結集する起爆剤となることでしょう。
追伸:
社員が発奮する経営者のあり方は
ここから生まれています。

脇田 優美子
