
年功序列が崩れてきているとは言うものの、現状ではまだ会社という組織の中で、若い社員は上司、先輩を立てなければならないという風土が根強く残っています。
中小企業においても、年長者に遠慮する若手社員は今もって多いことでしょう。
経営者は、自然に社員の意識が変わるのを待っているわけにはいきません。
年功序列を重んじる雰囲気の中では、優れたアイディアを持つ若手がそれを披露するチャンスがないからです。
若い世代は、スマートフォンの使用方法に始まって、世の中の新しい技術や流行など、年配の上長が知らないたくさんの情報や知識を蓄えており、当たり前に活用しています。
業務の面でも、新しい知識や情報をもとに創意工夫を重ねています。
自社にイノベーションを起こそうと思うなら、できる限りこうした社員たちから、経営者の思いつかないようなアイディアを集めるべきです。
環境づくり
経営者は、社員の誰もが自分のアイディアや意見を発表できる環境を整える必要があります。
上司や先輩に気がねなく若手社員にアイディアを発信してもらうには、そのためのしくみをつくるとよいのです。
たとえば、幹部や管理職抜きの、若手社員だけによる改善提案やアイディア発表の会議を設けましょう。
経営者が店舗や工場の視察に出向く時は、若手社員に案内や説明を担当させましょう。
あるいは、部署ごとに、若手社員による生産性向上事例発表会を開く、などもよいでしょう。
副次的な効果
このような環境を整えると、埋もれていたアイディアが表に出てくるという本来の狙い以上のメリットも得られます。
ひとつは、若手社員の意欲が非常に高まることです。
人間は自分にスポットライトが当たると刺激を受け、もっと良くしようと努力を重ねるようになるものです。
日々の業務に、より問題意識と緊張感をもって取り組んでくれるようになります。
もうひとつが、上司による望ましくない操作が働きづらくなることです。
上司や管理職抜きの場面が増えることで、上に立つ社員が若手社員の成果を横取りしたり、自分に都合の悪い情報を握りつぶしたり、という良からぬ行為がしづらくなるのです。
若手社員の活躍が目立ってくれば、上司や管理職と言えども、うかうかしていられなくなるでしょう。
新しいことを学び、積極的にアイディアを生み出さなければならない、という雰囲気を全社に広めていくことができます。
若手社員がアイディアや意見を発信しやすくなるよう、風通しのよい環境を整え、イノベーションにつなげていってください。
追伸:
本格的に企業風土を変えたい経営者は
この方法で取り組んではいかがでしょうか。

脇田 優美子
