
企業においても個人においても、発信の必要性が盛んに言われています。
経営者自らが発信することで、支持者や仲間やお客様がもっと集まってくる可能性も高まります。
同時に、社会に対する覚悟も一段と強まることでしょう。
あなたの発信が注目されると、講演や寄稿や出版の話が持ち込まれる機会が増えるかもしれません。
しかし、このように社会の関心があなたに集まった時に、落とし穴が待ち構えているのです。
急成長やブランディングやV字回復の秘訣を知りたいと言って、いろいろな人々があなたに教えを請いにきます。
メディアの取材なども立て続けにきたりします。
自分が急にもてはやされる時、冷静でいられる人間は少ないことを覚えておく必要があるでしょう。
講演ではつい格好良いことを話してしまい、自分でも有頂天になり、成功の体感が得られるかもしれません。
しかし、現実は厳しいものです。
往々にして、経営者が成功談の披露に引っ張りだこの間に、自社は早くも綻び始めるのです。
瞬く間に転落
有名なビジネス誌の編集長が話していたことがあります。
自分たちが取材した企業の中には、その後わずか数年で業績が傾いてしまう会社が一定数ある、と。
あなたには、そんな経営者になってほしくありません。
にわかな名声に浮かれて足元をすくわれることのないようにしてください。
ちやほやされて、分不相応な地位や立場を引き受けると経営がおろそかになります。
経営者が社会に向けて発信することは、たしかに相応の効果が期待できます。
しかし、その先の展開をコントロールすることのほうが難しいのです。
どんなに世間の注目を浴びても、分限を守り、地に足をつけ、しっかり事業運営を継続することです。
経営者の有頂天は失うものが大きいと心得ましょう。
追伸:
堅実な経営者のあり方・備え方

脇田 優美子
