
経営者なら、お客様を狭めるほうが事業は上手くいく、という理論をすでにご存知でしょう。
どんなお客様にでも買ってもらおうとするより、具体的なお客様像を決めていくほうがよい、ということです。
ところが、このやり方で事業が上手くいっていたはずが、いつの間にか下降線をたどってしまう場合があります。
これはいったいどうしたわけでしょうか。
お客様はとどまらない
たとえば、あなたの会社が当初想定したお客様が、30代の男性だったとします。
そのお客様たちは、あなたがそう決めた当時、自社の価値観にぴったり合うお客様だった、ということです。
当時の社会状況や、経営者のあなた自身の年齢や環境からくる考え方と、もっとも相性の良い相手を選んだのではないでしょうか。
その価値観がお客様ときちんと合致している間は、そのまま業績に反映されていたのです。
しかしながら、当然のこととして、お客様の状況はどんどん変わっていきます。
年齢を重ねていくだけでなく、社会的な立場や生活環境も変化していきます。
加えて、今は時代の変化がかなり早いため、世の中の価値観の移り変わりも激しいのです。
自社がお客様としている、かつて30代男性だった人たちの求めるものが、自社の提供する価値と少しずつズレてきたのではないでしょうか。
同じ?それとも違う?
ここで、こんな疑問を持つ経営者がいらっしゃるかもしれません。
「でも、30代男性というお客様は、一定数いつでも存在しているのではないか?」
「かつて30代男性だったお客様が去ったとしても、今30代になった男性が新しくお客様になってくれるはず」
あなたは、この見通しをどう思われますか。
もしこの見通しが事実であれば、業績が低迷することはないでしょう。
こうした誤った見方をしているうちに、あなたの市場が消え去ってしまいかねません。
以前の30代男性と、今の30代男性の価値観や欲求は、果たして同じでしょうか。
繰り返しになりますが、時代の変化のスピードは激しく、たった数年間で社会状況がまるで違ってくるのが今の日本であり、世界です。
あなたの会社にお客様が求めるものも、刻々と変わり続けているのです。
経営者は止まってはならない
これまでイメージしてきたお客様像と、自社の提供する価値が合致しなくなったと気づいたら、すぐに対応しましょう。
どんな人があなたの会社のお客様なのか、もう一度ゼロから決め直す勇気が必要です。
経営者は、変わり続ける社会状況を鑑みつつ、お客様の進化に応じていかなければならないのです。
追伸:
変化に対応できる会社には
外からは見えない秘密がありました。

脇田 優美子
