
経営者の方と接する度に、真面目で一生懸命な方ばかりだと感じます。
業界の状況を把握し、専門分野の勉強にも熱心です。
それでも、なかなか突破口が見つけられない経営者もまた多いのです。
なぜでしょうか。
それは、社会全体の変化を読む、という視点が抜け落ちてしまっているからです。
そうした経営者は、市場を見る時も、直接競合にしか目が向いていません。
ところが現在は、間接競合のほうがむしろ多いくらいです。
お客様の側から世の中を眺めれば、あなたの会社と比べる選択肢は本当にたくさんあるのです。
異なる業界の動向や、テクノロジーの進化など時代の潮流、世界が向かう方向まで大局観をもって観察してはじめて、自社の立ち位置、商品の位置づけが見えてくるということです。
自社の業界がどう変化していくのかはもちろんのこと、消費者の考え方、価値観、行動の変化、つまり人間と社会を俯瞰する目が欠かせません。
経営者がこのような意識を十分に働かせるには、どのようにしたらよいでしょうか。
経営者も消費者
経営者は、ひとりの消費者でもあります。
たとえ事業運営に打ち込み、多忙であっても、消費者としての目線が失われてしまうと、観察力も分析力も衰えてしまいます。
街に出て実際に買い物をしてみたり、インターネットで商品やサービスを注文してみたり、人の集まるイベントや劇場に出かけてみることが、とても重要なのです。
理屈で知っていることと、体感は別のものです。
自分で経験してはじめて腑に落ちる感覚があります。
このような実体験を通して、経営者も消費者としての体感を十分に得ておくことが必須です。
また、異分野の経営者だけでなく、学者や芸術家など、異なる切り口で世の中を捉えている人たちの考え方、ものの見方に触れることも有効です。
実に様々な分野で、人間について、社会の向かう先について研究がされ、洞察がされ、実験もされています。
こうして自分の意識の輪を広げながら、自社の事業内容と今立っている場所を見直すと、次にどのように動いたらよいのかが見えてくるでしょう。
経営者が小さな場所で生きていると危険です。
経営者自身が常に新しい事に触れ、新しい概念を知り、新しい動きを取り込んでいくことです。
経営者とともに会社も成長する、ということを自覚して進んでいきましょう。
追伸:
聡明な経営者は
この方法で視野を広げています。

脇田 優美子
