
経営者として、業績を上げる目的での組織開発は欠かせません。
組織の形態にもいろいろあり、どれを採用するのが正解というものではなく、時代によっても機能するかたちは違います。
小さな会社では、現在はフラットな組織構造が増えてきています。
その理由は、ピラミッド型の組織では一方的な指示になりがちで、多様性が生かしにくく、今の時代の方向に合わないからです。
現在は、個々の感情を押し殺すような働き方が受け入れられなくなっており、ピラミッド型は様々な面で齟齬をきたしているのです。
自社に離職者が多い時、その原因が、時代に合わない組織構造からくる息苦しさの可能性がある、という点も考えてみるべきでしょう。
経営者もあだ名や「さん」付け
最近は、社員が経営者を、「〇〇社長」ではなく「〇〇さん」と呼ぶ会社も多いですね。
ニックネームで呼び合う会社さえあります。
これまでの常識がどんどん変わってきています。
では、こうした会社が好んで社員とフラットな関係を築いているのかと言えば、必ずしもそうではありません。
ピラミッド型の組織の時は、社員が辞めてばかりで業績も悪かった、という経緯を経ている場合が多いのです。
その状況を何とか打開しようとして、フラット型組織に変革しています。
しかも、ピラミッドの階層構造だった組織がフラットな組織に変わるには、かなりの混沌があることも覚悟しなければなりません。
経営者にとっても社員にとっても挑戦なのです。
顧客満足を押し上げる
それでも、フラットな組織の良さは、社員ひとりひとりが自分で考えるようになることです。
上からの指示や命令はないのですから、自分で考えて自分から動かなければなりません。
ひとりだけで何もない状態では動きようがないため、社員同士がコミュニケーションを密にして、自分たちのできること、自分たちがすべきことを考え、動いていくようになるのです。
はじめは時間がかかりますし、混乱も起きますが、社内の風通しが良くなるまでの辛抱です。
そこを突き抜けると、大きな強みが生まれます。
その強みとは、全社で予想外の事態に対応する力がつくことです。
自分の判断で動ける社員になっているので、突発事項にも臨機応変に動けるようになるのです。
上からの決定がなければ対応できない、という社員ではないわけです。
こうした会社は、お客様から高い評価を得ることになります。
個々の社員がその対応力でお客様の満足度を上げることができるのは、マニュアルや命令を越えた社員の誇りが作用するためです。
顧客対応は、いくらマニュアルにのっとり教育しても、越えられない壁があります。
フラットな組織では、その壁を乗り越えてお客様をファンにしていくことができます。
これからの時代、お客様との関係を築くことがますます重要課題になっていくことは間違いありません。
商品やサービスそのものでは差別化が難しくなっていますが、フラットな組織による独自の強みは他社から真似されにくいので、競争優位性が築けるでしょう。
ピラミッド組織からフラットな組織への変革は簡単ではありませんが、挑戦する価値があるのではないでしょうか。

脇田 優美子
