
社会の移り変わりは非常に早いので、あなたの会社も、これまでと同じお客様の層にこの先ずっと買い続けてもらえるどうかはわかりません。
今まで買ってくださっているお客様に加えて、新しい層のお客様を取り込んでいく必要があります。
伝統的な商品であればなおさら、どのようなお客様が自社の商品を必要としているのか、本当にほしがっているのは誰なのか、見極めなければなりません。
たとえば和菓子業界。
若い女性からよく聞くコメントは
「和菓子って美味しいんだけど、パッケージや手提げのデザインがお年寄りっぽいから、恥ずかしくて買えない」
「あの袋持って歩くの、ムリ」
和菓子販売に携わる経営者の耳に、こうした消費者の声は届いているのでしょうか。
中身がいいのは当たり前
ソーシャルメディアの発信などからもわかるように、今ほど若者が見た目を重視している時代はありません。
その和菓子が美味しいことは知っていても、誰かの贈り物に、あるいは自分で食べるために買いたいのに、全然オシャレではないから無理だ、と言われてしまっているのです。
現在は、女性ばかりでなく男性も、スイーツが大好きな若者はたくさんいます。
和菓子業界にとって、本来であればお客様を広げるチャンスのはずなのです。
けれど、若者は老舗の和菓子をほとんど買いません。
古めかしい見た目の和菓子より、もっとオシャレな他のスイーツを買ってネットで発信したり、友人にもプレゼントして喜ばれたいからです。
経営者は、果たしてこうした実情にどこまで気づいているでしょうか。
買わない消費者の本音をきちんと拾えているでしょうか。
ちなみに
「若者があまり老舗の和菓子を買わないのは、価格が高いからだろう」
と思うのは勘違いです。
スイーツに、食事より高額を支払う若者はいくらでもいます。
社会で何が起きているのか、時代がどこに向かっているのかを見抜く力が経営者にあれば、まだまだ打つ手はあるのではないでしょうか。
その方向で大丈夫?
打開策を模索してか、和菓子業界では、創作和菓子と呼ばれる洋菓子と和菓子を掛け合わせたような商品の開発が盛んです。
しかし、美味しくてデザイン性の高い洋菓子と食べ比べると、中途半端な出来のものが多いと感じます。
この現象の根底に、和菓子が社会に受け入れられなくなった、という経営側の思い込みがあるのだとしたらとても悲しいことです。
和菓子業界の売上は確かに落ちているのですが、それは本当に和菓子が受け入れられなくなったことを意味しているのでしょうか。
和菓子そのものではなく、商品としての表現が受け入れられなくなっているとしたら、どうでしょうか。
味だけでなく、デザインもパッケージも提供方法も店舗イメージも発信も、すべて含めて商品なのです。
経営者に、マーケティングの視点が欠けているように感じられてなりません。
商品そのものだけを見て考えているために、落とし穴にはまっています。
和菓子業界においても、若い人に好まれているお店や会社はあるのです。
もし、あなたが和菓子製造販売の経営者なら、狭い視野と思い込みで自滅することのないよう、十分にお気をつけください。
追伸:
思い込みを外したい経営者には
こちらのレポートが
お役に立つかもしれません。

脇田 優美子
