
特定の商品の爆発的なヒットは、急激な成長曲線を描きます。
しかし、下降は一直線ということもままあります。
売れ過ぎて欠品に陥り、増産体制を整えた頃には天井を打ち、いざ増産を開始すると市場の購買意欲はすでに下火になっていたという失敗が典型です。
なぜそうした展開に至るのでしょうか。
当然の展開
大きな理由の1つは、その商品が他社にも容易に真似できるものだからです。
商品の製造や販売手法に関して特に難しいところがなく、ただアイディアだけが新しかった、という場合がこれに当たります。
運よく商標取得により一定の防御ができればともかく、そのような例外を除くと、簡単なビジネスモデルほど他社がどんどん参入してきます。
後から入ってくる競合は、先行商品を少しでも上回るメリットを乗せて販売してきます。
しかも、より低価格で攻勢をしかけてくることが多いのです。
この商品が流行り始めた、と気づかれた途端に次々と類似商品が出回り、短期間で価格競争に陥ります。
いわゆるレッドオーシャンの状態となり、あっという間に利益の出にくいビジネスになってしまうのです。
ひどい場合、売れ残った商品の廃棄費用で利益が吹き飛ぶケースさえあります。
見極めて狙う
したがって商品企画においては、アイディア勝負の一過性の流行に終わりそうな商品と、長期にわたる競争力を持つ商品とを峻別して考えなければなりません。
競合他社が簡単に参入できる場合、スピーディに展開してすぐに縮小し、いつでも撤退できる体制で展開するのも1つの方法です。
当然ながら、この商品の位置づけは中核商品ではなく、目先を変えたスポット商品の扱いです。
この戦略においてはマーケティングの展開もスピード重視、先行逃げ切りの戦術です。
他社が乗り込んでくるなり価格競争に陥るので、その前に十分な先行者利益を得ておかなければなりません。
そのためには、一気に全面展開できる体制が理想です。
ここは矛盾して聞こえるかもしれません。
しかし、恒常的な増産体制にすることは危険でも、急激な一過性の需要を吸収する必要はあります。
一気に広げた後、一気に縮小できることが肝要です。
つまり、それが簡単にできる性質の商品であることも、条件として考慮すべきところです。
定番化
ところで、多くの競合が後追いしてくるような商品でも、もとから自社にたくさんの顧客がいて、そのお客様がずっと買い続けてくれる状況が作れれば、定番商品に格上げできる可能性は十分あります。
類似商品が増えても、あなたの会社やブランドへの愛着心の高いお客様はあなたから買ってくれるでしょう。
ただしスタート時点では、ヒットに浮かれて長期的な増産に向けた投資をすることには危険が伴います。
ですから、あえて大ヒットを狙わない戦略をとる経営者もいるのです。
そうした経営者は、確実な成長を目指して、ロングセラー商品を少しずつ増やしていきます。
もしあなたが大ヒットを予感する商品を思いついたとしたら、勢いだけで攻めて地獄を見ないよう、十分な見通しと戦略をもって展開してください。
追伸:
戦略的な経営者は
この方法で事業構築しています。

脇田 優美子
