
自社がいる市場の衰退がいよいよ明らかになった時、経営者が焦ってやりがちなのが、儲かりそうに見える市場に参入することです。
どの分野にも成功している企業は存在しますが、そこには必須の要素があります。
自社の強みを生かせる市場に参入しているということです。
自社の強みと合致していないにもかかわらず、流行りの市場で事業を立ち上げれば、同じことを考える他社もどんどん参入してくるため、激しい競争は目に見えています。
あなたの強みと関係なければ他社優位性も発揮できず、戦いようがありません。
華やかな成功談への憧れ
いつもお伝えしていることですが、物事には兆しというものがあります。
あなたのいる市場がいきなり縮小する、などということはほとんどないでしょう。
成長期から衰退期へと徐々に変化してきているはずです。
たしかに最近は変化のスピードが非常に早く、ますます油断できません。
だからこそ先を見通して、本来は既存事業が安定して収益を確保できているうちに、新規事業をテストして事業の柱を増やしていく事が不可欠なのです。
それを、既存事業がジリ貧になったからといって、いきなり新規事業を立ち上げても、当たればともかく失敗したら取り返しがつきません。
経営者は、一発逆転やV字回復などの成功談を見聞きしても、単純に踊らされないようにしたいものです。
強みから離れない
新しい市場に打って出る際に失敗しない方法は、自社の強みから離れないことです。
自分たちの強みこそが競争優位性なのですから、新たな市場でその強みによって勝ち続けることができるか、見極めなければなりません。
将来にわたって、強みを活用してその市場で事業を拡張していける可能性がどれくらいあるのか、先まで読んで考える必要があります。
自分に都合よく甘い判断で臨んでも事業を危うくするだけです。
たとえ魅力的に見える市場でも、冷静に判断して自社にふさわしくない市場だと見極めたなら、参入は踏みとどまるべきなのです。
参入分野を発見する
自社に最適な市場というものが、あっさりと見つかるわけではありません。
まずは会社の体力があるうちに、あらゆる物事をヒントとして、自社の強みと世の中の変化を結びつけられないか考えましょう。
経営者は、ふだんから心に壁をつくらず、選り好みをせず、世の中のどの分野にも興味を持ち、関心の輪を広げていきましょう。
そうした努力の中で、他社とは違った新しい市場を創出するチャンスを発見できるかもしれません。
チャンスを見出したら、テストを繰り返して確信を得てから、少しずつ経営の比重を既存事業から新規事業に移していくことが重要です。
用心深く前進していきましょう。
追伸:
本気で新規事業を開拓したい経営者が
実践するのがこの方法です。

脇田 優美子
