
経営者にとって不意を突かれるのが、社員による失敗や不正の隠蔽でしょう。
隠蔽されたがために、取り返しのつかない事態に至ってしまうこともあります。
組織的な隠蔽は問題の露見を遅らせ、さらなる不正の温床となり、悪循環から抜け出せなくなります。
人間には都合の悪いことを隠したいという心理があるものですが、こと事業運営に関しては、この心理の作動を何としても防がなければなりません。
そのために必要となるのが、経営者による環境づくりです。
心掛けるのではなく、実際に行動で示すことが重要です。
定期的に失敗を開示
具体的には、日頃から自社の失敗を積極的に社員に共有していくことです。
たとえば定期的に開催する管理職以上が出席する会議などで、経営者が過去と現在の自社の失敗を開示するのです。
ここで重要なのは、失敗をいかに素早く明るみに出して善後策を練ったか、を伝えることです。
隠していたら大きなトラブルとなる恐れのある失敗も、できる限り迅速に対応することで、問題を最小限に済ませられること、時にはかえって良い結果につなげられることを、社員に体感として理解してもらうのです。
管理職になれば部下を抱えている分、自分が失敗するだけでなく、部下の失敗に触れる機会も増えるでしょう。
小さな失敗も含めれば、失敗が全くないということはあり得ないはずです。
仕事をしていたら失敗はつきもので、それを隠して事態を悪化させてはいけない、という強いメッセージを伝えることが大事です。
そして、不正らしき気配に勘づいた時も、躊躇せず極力急いで報告するよう徹底します。
経営者は、自社が失敗や不正を見過ごさず素早く善処する会社であること、隠蔽は厳しく問われる会社であることを常に明言しておくべきなのです。
良識があれば言わなくてもわかるはずと油断せずに、大事なことだからこそ、いつでも明確に伝える必要があるのです。
追伸:
成長を続ける会社の経営者が
大事にする2つの備え

脇田 優美子
