
経営者のあなたは、社員に対して目標とする数字を示す際に、その数字の根拠も明確に伝えていらっしゃるでしょうか。
そもそも、提示する数字に根拠はあるでしょうか。
たとえば
「今期売上は、前期比120%必達だ!」
と経営者が号令をかけても、なぜその数字を達成する必要があるのか理由がわからなければ、社員は積極的に取り組む気になれません。
お客様や社会に貢献しようという気持ちが社員にあったとしても、たいていは、まず自分にとって利益になるか否かで物事を判断するのが実情でしょう。
もっともわかりやすい例として、ここでもし経営者が
「2割売上アップを達成したら、給料もこれだけアップする」
と社員に約束したら、もうそれだけで頑張ってくれるかもしれません。
自分の努力が利益として直接自分にもたらされることが、はっきりわかるからです。
もっとも、報酬をアップするという掛け声が理想的ということでは決してありません。
以前からお伝えしているように、金銭的な動機付けはいつか破綻するものです。
経営者の理由
現実には、経営者が示す数字の根拠が、社員に目先の利益をもたらすことは少ないでしょう。
経営者が売上や利益を伸ばそうとするのは、自社の目指す未来に必要となる資金調達や、経営の健全化などが目的のはずです。
それであればなおのこと、経営者はそうした根拠を社員に詳しく告げることが大事です。
自分と少数の幹部だけで見通しを立ててはじき出した数字の背景を、すべての社員としっかり共有しなければならないのです。
それを省いてしまうと、社員は数字を一方的に押し付けられたと感じて前向きな気持ちになれず、目標達成が難しくなります。
社員にとっての意味
社員が経営者の掲げた数字の達成に積極的に動いてくれる状況をつくるには、社員にとってどういう意味がある数字なのかを伝える必要があります。
自社を取り巻く業界の未来、その環境において経営者が描く社員の未来の姿、そのための5年先、10年先の構想など。
それらを経営者の肚づもりとしてだけでなく、社員に向けて、彼らに直接かかわる重要な目標として伝えるのです。
もしも経営者の目に映る自社と社員の未来が厳しいものなら、なおさらその危機を乗り越える具体的な準備が必要でしょう。
そのために今できることを考えて弾き出した数字であることを、しっかりと示さなければなりません。
この数字はどうしても達成する必要があるのだ、自分たちの手で未来を切り開いていくのだ、と納得できれば、社員は動きます。
会社の未来は自分たちの未来であることを、社員が体感をもって理解できるように、経営者は数字の根拠を十分に語ってください。
追伸:
社員が意欲的に動く会社の
経営者がしていること

脇田 優美子
