
高齢化社会の日本において、シニアという存在をどのようにとらえるのかは、事業運営に大きく影響するでしょう。
シニアビジネスという枠の中で、シニア向けサービスや商品を考えるのか。
シニアという枠を取り払ったかのように扱うのか。
両者には大きな違いが出ます。
シニアの感情
まず、人間の意識として、ある年齢になると突然シニアと呼ばれ、高齢者向け商品があてがわれるのを嬉しく感じる人はあまりいないでしょう。
一昔前ならいざ知らず、今時のシニアと呼ばれる年齢の人々は、男女問わず活発な人が増えています。
気持ちはとても若々しく、積極的に外に出て活動する人も多いのです。
仕事に趣味に孫の世話、イベントや旅行やボランティアなど、忙しく過ごしています。
人口の4分の1ほどを占める高齢者に対して、どのような商品やサービスを提供することが喜ばれるでしょうか。
誰も着たくないデザイン
たとえばファッションカタログなど、シニア向けのデザインは驚くほど年寄りじみていて、いったい誰が買いたくなるのだろう、と思うものばかりです。
実際、シニア女性にお話をお聞きしても、
「おばあさんみたいな服ばかり売っていて、嫌になっちゃう」
「もっと素敵な服が着たいのに……」
とおっしゃる方が多いです。
シニアと呼ばれる人たちは、実年齢よりはるかに気持ちが若いのです。
ファッションにおいても、体型など外見的な衰えをさり気なくカバーしながらも、若い頃と変わらず、時代の空気を取り入れ、華やかさを失わない装いをしたいと常に思っています。
それにもかかわらず、実態とかけ離れた品揃えの店やカタログをいまだに目にします。
ビジネスをする側がお客様のことをわかっていないまま、古いお仕着せのイメージに当てはめているのではないでしょうか。
焦点を変える
しかし、中には、シニア世代の感情を的確にすくいとって、シニア層に対して自分を楽しむことを提案し、自己表現を手助けしている企業もあります。
当然ながら業績は順調に拡大しています。
そうした企業の特徴は、シニアという扱いではなく、お客様を主人公として盛り立てていることです。
シニアを高齢者と見ているのではなく、自社が応援したい主役として輝かせているのです。
このニュアンスの違いは非常に重要です。
高齢者という印象が、上手に消し去られているのです。
お年寄り扱いをせず、お客様に希望や自信を与える商品やサービスを展開していることが、他の企業との差を生み出していると言えるでしょう。
あなたが個人に向けた事業を行っているなら、シニアのお客様にどう向き合っていくのか、自社の姿勢を明確にする必要があるでしょう。
あなたがすでにシニアならば、当事者の感覚で考えることができるはずです。
あなたがまだシニアと呼ばれる年齢ではないなら、シニアの方々の偽らざる思い、本心を、シニアの方から直接伺ってみてください。
追伸:
お客様の望みを叶える経営者の秘密

脇田 優美子
