
経営者のあなたが、もし業務用製品を製造販売しているなら、ここで取り上げる内容は重要です。
あなたは事業拡大のために、「これからは一般消費者にも展開しよう」と考えていらっしゃるかもしれません。
そこで、今ある業務用製品をそのまま一般消費者に買ってもらおうとすると、どういうことが起きるでしょうか。
業務用の商品をエンドユーザーに届ける際には、注意すべき点がいくつかあるのです。
この注意点を知らずに展開してしまうと、意外なほど苦戦して、思ったような利益が出ない場合があります。
大きくて重い
業務用は容量やサイズが大きいことが特徴です。
けれど、容量やサイズが大きいという業務用のメリットは、小売りでは必ずしもメリットにはならないのです。
店頭で小売するとなれば、大きくて重いことは、お客様にとって不便でしかありません。
若い人は車を所有しなくなっていますし、高齢者の割合も増えており、車で運んでもらうことは期待できません。
インターネットで販売する場合は商品は配送されますから、たしかに、購入者は自分で運ぶ必要はなくなります。
しかし今度は、大きい商品や重い商品の配送料金に不満を感じて、購入をためらうことになります。
ネット通販で何より人気のある販売手法の1つが「送料無料」であることは、あなたもご存じでしょう。
大型の家具や家電などであれば、お客様もある程度は、それなりの配送料負担を受け入れます。
しかし、日用品のように、定期的に届けてもらいたい商品で送料の高いものは毛嫌いされます。
余る
また、容量の多いことは、買う人の環境によってもマイナスに受けとめられることがあります。
あなたの商品を買ってくれるお客様は、何人家族を想定しているでしょうか。
独身者やカップル向けの商品でしょうか。
容量の多さは、お客様から「お得だ」と受けとめられるとは限りません。
なぜなら、単身者や少人数の家族の場合、「多過ぎて使い切れないな」と思われてしまうからです。
「余らせて処分するくらいなら、少々割高でも少量のほうがいい」と考える人が増えている時代です。
使用期限や賞味期限のある商品は、確実に使い切れるコンパクトな量が好まれる流れになっているのです。
こうした社会背景をふまえて、自社の商品を買ってほしいお客様の生活環境をよく調べ、その人たちにとって喜ばれる容量、便利な容量を突きとめる必要があるでしょう。
買い叩かれる
さらに、業務用サイズで業務用パッケージのままだと、仕入れ側から値引き交渉されやすいというデメリットもあります。
「大容量の業務用が激安!」のような扱いにできるからです。
小売の場合、商品の多きさや容量だけでなく、パッケージのデザインがとても重要になります。
大容量で地味なパッケージと、適度な容量でおしゃれなパッケージでは、消費者の感じる価値にかなりの違いが出ます。
一般の消費者にアピールするには、適切な容量をきちんと調査するだけでなく、対象となるお客様に合わせたパッケージに変更できないか検討しましょう。
コストとひき比べつつ、事前にパッケージの比較テストをしてみましょう。
こうして、大きさや容量やデザインを小売用に対応することで、低価格のお買得商品扱いされるのを防げます。
別の観点から言うなら、業務用の容量の選択肢を増やせば、それだけで使い勝手がよくなり、新たなお取引先を開拓できる可能性も考えられます。
いずれにしても、買う側がどういうところに価値を感じるのかを、改めてよく知ることが大事なのです。
一般消費者に小売りする際は、業務用をいきなり出すのではなく、先にしっかりお客様について調べてから展開していっていください。
追伸:
新たな事業展開の前には
こちらを読んでおきましょう。

脇田 優美子
