
あなたも自社の経営に役立つ情報収集を心がけていることでしょう。
私たちが触れることのできるインターネット上の情報の量がもはや無尽蔵と呼べるほどになった現在では、玉石混淆の情報の中から有益な情報を探し出すことは簡単なことではありません。
手当たり次第に当たっていては、宝石を探すつもりが石ころばかり集めてしまうこともあります。
石ころも使いようで価値あるものに変えることはできるかもしれませんが、やみくもな情報収集は際限がなく、経営者の貴重な時間も浪費してしまいます。
効率性の罠
すると今度は、効率的に情報収集すればよいのではと思うかもしれませんが、これも少し違うのです。
効率を重視する思考は、はじめから「無駄に見えるものを捨てる」というフィルターをかけることになります。
では、無駄か無駄ではないかの判断は何をもってするのか、という問題が出てきます。
人間には思い込みがあり自分の見たいように見てしまうため、どうしても、自分の考えを肯定するような自己に都合のよい情報ばかりを集めてしまいがちになります。
情報収集をする経営者の主観に頼るのは、案外危険なのです。
2つの視点で収集
では、現実にはどのように情報収集するのがよいでしょうか。
その1つの方針として、戦略の強化につながる情報から集めると良いでしょう。
自社の戦略を検討するという視点で情報を集めるのです。
戦術はいくつ集めたところで、それ単体では有効に働きません。
使い方を間違えればかえって仇にもなります。
戦術から集めてしまうと脈絡がなく迷走するのです。
そんな事態を避けるには、まず戦略に関する情報を収集し分析します。
戦略が確定すれば、取るべき戦術も見えてきますので、戦術の情報収集はそこまで難しくはありません。
もう1つの方針としては、テーマを絞って明確にした上で、ある程度自由に情報収集することです。
この方法はテーマに何らかの関連がある情報が集まってきますが、あえて範囲をゆるやかにして集めていくので、これまでかかわったことのない分野や初めての知識と出会うことも多く、思考の枠を広げるのに有益です。
収集は目的ではない
ただし情報収集する時は、期限を決めて行いましょう。
膨大な情報の海の中で、どれだけ収集に時間をかけたところで終わりはなく、最新情報は絶えず生まれ続けます。
判断材料として使用する以上、延々と集め続けるわけにはいきません。
知り得なかった情報もあることは承知の上で分析考察を行い、指針を打ち出す覚悟がいるのです。
ですから、自分にとって価値のある情報に行き当たるには、情報収集に対する嗅覚、勘も大事、ということになってきます。
これは天性に加え、ある程度の経験も必要でしょう。
いずれにしても、経営者にとって情報収集は避けて通れないものです。
戦略強化の情報収集
特定のテーマの知識を得る情報収集
という2つの切り口で、情報に対する感度を上げていってください。
追伸:
思考力の高い経営者ほど
この方法の価値がわかるでしょう。

脇田 優美子
