
経営者のあなたは、社員を果たしてここで叱るべきか否か、と迷う場面があるのではないでしょうか。
もしかすると、経営者ご自身にかつて叱られて鍛えられた過去があると、人を育てるには叱るのが当たり前と思っていらっしゃるかもしれません。
けれど、叱られてもそれを乗り越えてきたあなただからこそ、今経営者というお立場にあります。
叱られても跳ね返せる精神力があり、期待に応えられる実力もあったということです。
しかし、大半の社員はそうではありません。
社員が失敗した時に叱るという行為は、相手の傷口に塩を塗るようなもので、たいていは屈辱感と劣等感を強めてしまいます。
屈辱感をバネにできるのは、克己心を備えた一部の人だけです。
自分に自信がない人ほど素直に受けとめることができず、かえって反感を抱いてしまうことも多いのです。
劣等感
劣等感はさらに厄介です。
自分に価値を感じられなくなり、たとえ後から励ましても、自信の回復は相当難しくなってしまいます。
社員を奮起させようと思って叱ったつもりが、結果はなかなかそうはなりません。
意欲を喪失し挑戦から逃げ回る社員や、会社を去っていく社員を増やしてしまうだけ、ということになりかねないのです。
むしろ、社員が失敗した時に劣等感を抱かせないように配慮することが重要です。
叱らずに、失敗を糧に未来に向けて考えさせることで、失敗を恐れない社員をつくるのです。
人を育てるには根気が要ります。
人を真っすぐに伸ばしていくには、その人の中にある劣等感を駆逐しなければなりません。
経営者が短気を起こして叱ると、たいていの場合は劣等感を誘発してしまうことになり、逆効果だと言えます。
失敗が負の体験として劣等感に結びついてしまわないよう、社員の自信を潰してしまうような叱り方は慎しむべきなのです。
追伸:
社員が自ら奮起する会社の
2つの秘密

脇田 優美子
