
苦労が人を磨く、と言われますが本当でしょうか。
実は、必ずしもそうとは言い切れません。
苦労の真っ只中にいる自分を、
「今の自分に必要な試練が、天から与えられているのだ」
と受けとめることができるか否かは、その人がそれまで生きてきた、人間としての修養にかかっているからです。
経営者であっても、大変な状況に陥った時、外に原因を探して責任転嫁しようとしたり、あるいは誰かを逆恨みするなど、心がねじれてしまう場合もないとは言えません。
常日頃から、人間としてのあり方を研いで生きていないと、苦労が自分を磨くものとして働かないのです。
物事の受けとめ方
経営者として経営努力を続けてきたにも拘わらず、不運に見舞われたり、苦境に陥れば、強い孤独に苛まれることもあるでしょう。
そして
「どうして自分がこんな目に遭わなければいけないのか?」
「なぜ、自分だけ上手くいかないのか?」
というような被害者的な意識が頭をもたげてくるかもしれません。
しかし残念ながら、こうした被害者意識が経営者を救うことはないでしょう。
この感情にとどまっている限り、いつまでたっても何の解決策も見えてきません。
そればかりか、八つ当たりで周囲の人々を傷つけたり、冷静さを欠いた判断と行動で、さらに事態を悪化させてしまったりして、悪循環にはまっていくのです。
ですから、意を決して抜け出さなければなりません。
人間としての自分
苦労を修練として受けとめる気概を備えるには、やはり、日頃の自己研鑽が大切でしょう。
その経験によってあなたには、他者に対する思いやりと感謝の心がより一層深まってくるに違いありません。
日頃から、尊敬する方にお会いして話を伺ったり、そうした人物の書籍を読んだりすることも助けになります。
自分の考えを人に話して、自分という人間についてのフィードバックを得ることも有益です。
直接ビジネスとは関係なく見える経験であっても、人間としての自分を磨く日々を積み重ねていくことです。
それらが相まって精神的な滋養となり、経営者の底力となるのです。
追伸:
成長し続ける経営者は
この方法で底力をつけています。

脇田 優美子
