
経営者のあなたが自分の右腕を育てたいと思うなら、候補の社員を自ら育成していく必要があります。
その社員を身近に置いて、日々自分の背中を見せる、仕事の仕方を見習わせていくところがスタートになるでしょう。
そして当然のことながら、学ばせるだけでなく、厳しさをもって伝えなければならない場面も出てきます。
そんな時、将来自分の右腕として、今これくらいのことはできてくれなければ困る、という前のめりな気持ちから、つい感情的になってしまうかもしれません。
しかし、経営者が一時的な感情に任せて怒鳴ってしまうようなことがあると、相手を無用に落ち込ませたり、自信を失わせてしまう恐れがあります。
こんな失敗を避けるにはどうしたらよいでしょうか。
基準を決めておく
それには、経営者の心の中で、予めきちんと指導の基準を決めておくことが肝要です。
右腕候補の社員が経営者の求めるレベルの仕事ができていないと感じる時、闇雲に叱るのではなく、しっかりと基準と照らし合わせて指導するのです。
どんな基準を持っておくのかは経営者であるあなたが決めることですが、たとえば
・信用を失うことをしているが、本人が気づいていない
・優先順位が間違っている
・同じ失敗を何度も繰り返している
といった観点を基準とするとよいでしょう。
1つ目の「信用を失うことをしているが、本人が気づいていない」ケースとは、たとえば、お客様は急ぎで対応してほしいはずなのに、緊急度を理解せず他の仕事を優先している時です。
こうした時は、お客様に対する理解が不十分であることを自覚させる必要があります。
2つ目の「優先順位が間違っている」ケースでわかりやすいのは、目の前の自分の業務ばかりに時間を使っている状態です。
部下への指導に時間を割り振っておらず後回しにしたままならば、これは指導が必要です。
人の育成は重要度が高くにわか仕込みはできないので、右腕候補の社員として先延ばししてはならないからです。
3つ目の「同じ失敗を何度も繰り返している」というのは、失敗から学んでいないことが問題です。
失敗自体を叱ると挑戦を避けてしまうようになるので、失敗がいけないのではなく、繰り返しているという点に目を向けさせることが大切です。
性格を見極めて
基準に照らし合わせて実際に指導する際、もうひとつの点を気にかけなければいけません。
それは、社員の性格も見極めて指導するということです。
あなたの伝えたいように伝えるのは、必ずしも効果的ではありません。
人により、論理的に諭すように話したほうが納得するタイプだったり、叱るように伝えたほうが奮起するタイプだったり、受けとめ方が違います。
ですから、同じことを伝えるにも、相手の性格に合わせるという配慮が重要なのです。
一朝一夕で経営者の右腕を育てることはできません。
何年もかかることだからこそ、まずは、あなたの中に指導の基準をきちんと定めてから取り組んでいってください。
追伸:
経営者の情熱を伝える方法

脇田 優美子
