
経営者のあなたは、この先のビジネスは売って終わりでは到底立ち行かない、と強く感じていらっしゃることでしょう。
お客様とのつながりをこれまで以上に強めていかなければなりません。
お客様と企業の関係性を強化するシステムなどが盛んに開発されていますが、そうしたツールの導入を検討する前に、知っておいたほうがよいことがあります。
それは、人間の感情についての理解です。
関わり方の曲がり角
ビジネスにおいてお客様との関係性を強めるには、2つの切り口で考える必要があります。
ひとつは、日常の中での継続的な関わりです。
お客様への連絡を絶やさない努力は、実際に多くの経営者が実践していらっしゃいます。
ただ、この方法は今ではたいていの企業で取り入れられており、お客様の側から見れば、うっとうしいほどのレベルになっています。
あなたの会社だけでなく、他社も同じようにお客様に頻繁にメールなどを送り続けるため、お客様はそれらを読まなくなり、無視するようになっているのです。
これでは、せっかくの労力が無駄になりかねません。
自社からの継続的な接触が無視されてしまう事態を、どうやったら回避することができるでしょうか。
位置づけを変える
上に述べた継続的な関わりに加えて、もうひとつの方法を取り入れると、お客様が、あなたの会社からの接触だけは喜んで受け入れてくれるようになるかもしれません。
お客様の自社に対する帰属意識が一気に高まる可能性のある方法です。
それは何かと言えば、イベントです。
お祭り、と言い換えることもできます。
あなたと社員とお客様が一堂に会して、楽しく盛り上がる行事です。
もちろん、扱う商品やサービスが深刻な課題を解決するものであれば、それなりの配慮が必要になるでしょう。
いずれの場合もイベントの主眼は、同じものを愛好する人、同じ課題を抱える人、同じ目的を持つ人、同じ未来を志向する人などが、同じ時間に同じ場所に集まることで一体感を得ることです。
時間と空間を共有することで、お客様の中であなたの会社の印象が一気に鮮明になります。
そこで熱狂が生み出せれば、体感として長く記憶に残り、それ以前と以後では、お客様にとってあなたの会社は違った存在になります。
お客様はこれまでより前のめりになって、あなたの会社の発信や活動に注目してくれるようになります。
その他大勢の競合から抜け出せるようになるのです。
時と場所を共有し、その空間に熱狂をもたらす効果は、インターネット上での催しを企画するにしても同様です。
インターネットで主なコミュニケーションをはかる時代の人々は、自覚のあるなしにかかわらず一体感に飢えており、高い帰属欲求を持っています。
経営者はこの心理に応えることで、お客様との関係性を強化することができるのです。
追伸:
経営者が巻き起こす
もう1つの熱狂

脇田 優美子
