
企業の業績を上げるために生産性の向上が必要だ、とそこかしこで言われています。
無駄な作業を洗い出したり、外注できる業務を仕分けたりして、仕事効率を上げ、残業を減らす。
たしかにそれで一定の成果は出ることでしょう。
しかしもっと、人間の心、働く人の人生に光を当てて考えることもできるのではないでしょうか。
言いたい放題
たとえば、社員に対して、「実現可能か否かはさておき、こんな働き方がしたい、こういうしくみにしたい、と思うことを好きなだけ言ってみてほしい」と伝えてはいかがでしょうか。
社員を信じて、ありったけの希望や要望を吐き出してもらうのです。
親の介護をしたい人は、在宅勤務がしたいかもしれません。
小さい子どものいる人は、しばらく短時間勤務したいかもしれません。
今より収入は減ってもいいから、週に3日だけ働きたいという人もいるかもしれません。
勉強のために通学したい人は、半日だけ出勤したいかもしれません。
副業したい人や、2社かけ持ちで働きたい人もいるかもしれません。
経営者のあなたが、できるだけ社員の本当の気持ちを知ろうとすることが重要です。
人が求めているもの
現在の社会において、人は自己実現を強く求めるようになっています。
そして、人それぞれ望む幸せのかたちも違います。
多様性が増す社会の中で、企業のあり方も柔軟性が求められてきています。
社員の願いを叶え、働きやすい環境を整えていくことは、彼らの自己実現と幸せな人生を応援することにほかなりません。
そのような職場では、人は働きがいを感じ、自ずと生産性は上がっていくことでしょう。
効率化を重視して、仕事を圧縮する方向だけで改善を推し進めていくと、ギスギスした環境に陥ることもあり得ます。
気づまりで、かえって士気が下がってしまっては本末転倒です。
それよりも、働きやすい会社になって、社員から、
「転職するより、ここで働くほうが自分には合っている」
「この会社にいると、自己成長できる」
「この会社で働けてありがたい」
と思ってもらえるほうが、長期的に見て業績アップにつながっていくことでしょう。
社員の幸せを実現する、という考え方こそが事業戦略である、ということもできるかもしれません。
経営者の方の中には、社員から希望が出るより先に、自らが働きたい職場づくりに熱心に励んでいる方もすでにいらっしゃいます。
人手不足に拍車がかかる状況は今後も続きます。
もしあなたが、社員からありったけの希望、要望を募ってみたことがなければ、ぜひそこから始めてください。
将来を見通して、やる気のある社員がずっと働きたくなる環境を整備していきましょう。
追伸:
人が幸せになれる会社の経営者は
この方法を知っているのです。

脇田 優美子
