
経営者のあなたは、社内会議や日々の朝礼の場で、幹部をはじめとする社員に、ご自分の思いや考えを伝えていらっしゃることでしょう。
あなたの発言を受けとめた社員が、その会議や朝礼の後、より意欲的に活動しているでしょうか。
社員が目を輝かせて動き出しているなら、あなたの発言は素晴らしいものに違いありません。
反対に、経営者のあなたが熱心に話しているにもかかわらず、社員がやる気になってくれないなら、何か問題があるかもしれません。
プラスとマイナス
会議や朝礼をはじめとして、あなたが社員に何事かを伝えようとする時、経営者のあなたの物事のとらえ方が、そのまま言葉になって出てきます。
「数字が伸びないのは、いったいどういうわけだ?」
「どうしてそんなに仕事が遅いんだ!」
「これでも君たちは真剣にやっているつもりなのか?」
「あなたたちは、考えが甘い!」
経営者としての苛立ちから、こんな発言ばかりになっていませんか。
物事をマイナスにとらえる思考からは、放っておくとマイナスの発言が次々と繰り出されます。
そして、マイナスの言葉には、マイナスの空気がまとわりつき、職場の雰囲気を重たいものにします。
経営者のマイナス発言を聞かされた社員の心も、マイナスの気分に覆われてしまいます。
マイナス発言の量
あなたは経営者として、どれくらいマイナス方向の発言をしていらっしゃるでしょうか。
少しはしているかも、くらいでしょうか。
それとも、まったくご心配ないでしょうか。
自分がどの程度マイナス方向の発言をしているのか、簡単に確認できる方法があります。
自社の会議や朝礼などで、あなたの発言を録音しておき、後から聴いてみればよいのです。
「あなたたちは本当に真剣にやっているのか?!」
「どういうつもりで仕事に取り組んでいるんだ?!」
「このままでは、会社はどうなると思っているのか?!」
もしかすると、社員に詰め寄る発言を延々としている事実に気づいて、ご自分で驚いてしまうかもしれませんね。
もっと熱意を持って働いてほしい、という経営者のお気持ちはよく理解できます。
その思いから、危機感をあおる発言になってしまうのも、わからなくはありません。
しかし、聞かされる社員は、実際には萎縮するばかりです。
これが毎度続くようなら、精神的に追い詰められる社員も出てくるでしょう。
経営者の発するマイナスの言葉に抑圧を感じて、離職する社員も出ているのではないでしょうか。
否定的な発言ばかりする人物のそばで働きたい人などいないからです。
プラス方向へ転換
マイナスの面ばかりを強調され危機感をあおられても、社員は圧迫感から逃れたくなるだけで、意欲的に動きたくなることはありません。
それは、録音を聴いてみればわかるでしょう。
あなたがハッパをかけているのに、社員は黙りこくって、息を詰めているだけではないでしょうか。
おそらく社員のほとんどは、嵐の過ぎ去るのを待つ心境でしょう。
経営者が、社員に今より積極的に仕事をしてほしいことを受けとめてもらうには、プラスの方向で発言する必要があります。
社員の中により強い責任感が芽生え、自ら動きたくなる経営者の言葉とは、どのようなものでしょうか。
「今の仕事のやり方をどう変えていったら、もっと早く事業がかたちになるのか、みなで具体的に考えてみよう」
「会社を着実に成長させて、みんなでもっと幸せになるためには、ひとりひとり何ができるだろうか。ぜひ、それぞれの気持ちを聞かせてほしい」
「自分の仕事の達成度を上げるには、何から手をつけたらよいと思う?」
経営者はマイナス思考に流されず、発言のクセを切り替えていくことをおすすめします。
マイナス方向の発言を控え、プラス方向の発言を増やすほど、経営者の得たい結果につながりやすくなることでしょう。
追伸:
経営者の強力なプラス発言で
社員が意欲的に働く会社の秘密

脇田 優美子
