
中小企業の生産性に関して、経営者には勘違いがいろいろあるようです。
中でも、休みを増やすと売上や利益が減ってしまう、という考え方から抜け出せない経営者は、苦労が続いていくことでしょう。
業績を良くしたければ、休みを増やしたほうがよいのですが、なかなか思考の枠が外せないのかもしれません。
人手不足の中、休みの少ない会社には採用の応募が来ません。
働く人の意識の変化についていけない経営者は、人を採用することができないのです。
人が採れないから、休みを増やすわけにはいかない、という悪循環に陥っています。
経営者は、生産性についての勘違いから抜け出したほうがよいのではないでしょうか。
俯瞰する
自社の生産性について見直そうとする時、あなたは部分ばかり見ていませんか。
会社の生産性は、会社全体で見るべきです。
チームごと、部署ごとに業務の無駄を省くことも大切ですが、それ以上に効果が出るのは、全体の組み立てなのです。
部分で効率化をはかろうとしても、すでに少ない人数で、業務の省力化も行っているとしたら、今以上に生産性を上げるのは無理、という発想になってしまいがちです。
けれど、全社を俯瞰すると、それが勘違いだということがわかってくるでしょう。
その前提として、もう1つの勘違いを改める必要があるかもしれません。
裏から見る
経営者が各部署ごとの生産性を考える際には、どうしても、忙しい状況を基準に見てしまうでしょう。
忙しい時にどうやってギリギリの人数でしのぐか、忙しい中でどのように時間短縮するか、という発想です。
これでは社員はいつも苦しい上に、経営者にとっても、休みを増やすなどとても無理、という話になってしまいます。
ところが、忙しくない時はどうなのか、忙しくない時に目を向ける、という発想の転換をすると、可能性が開けてくるのです。
どの部署にも、どこかで忙しくない時というのはあります。
その時に、関連する部署の仕事を少しずつ覚えていくしくみを作りましょう。
もちろん、一気にではなく、簡単なところから少しずつです。
たとえば、Aという部署の社員が、Bの部署の業務もサポートできるようにする、ということです。
たとえば、Cチームの業務をメインで担当していても、Dチームの業務を手伝えるようにします。
つまり、他の部署やチームの業務を少しずつ覚え、互いにサポートできる体制をつくりあげていくのです。
協力を得る
このしくみ作りに取りかかるには、スタート時点で社員に十分な説明を行うことが欠かせません。
「ただでさえ忙しいのに、どうしてさらに別の仕事を覚えなければならないのか」
という社員の不満や反発を防ぐことが大事です。
全員でサポートし合うことにより、会社全体で見た時に、同じ仕事の量を少ない労働時間で達成できるようになること。
このしくみが軌道に乗れば、給料は変わらずに今より休みを増やせること。
将来的には給料も上がる可能性があること。
こうしたメリットを伝え、社員の協力を得ましょう。
はじめは半信半疑の社員も、忙しくない時に他部署を手伝う代わりに、忙しい時に他からサポートしてもらっていると、もっと工夫できる点があることに気づき始めます。
互いの業務を外から見ることで、改善できる点が見えてくるからです。
この流れができてくると、会社全体として業務の効率化が加速していきます。
会社としての生産性が上がるにつれて、売上や利益も少しずつ上がっていくことでしょう。
生産性を上げながら、休みも増やしていきたいなら、経営者は部分から全体へ視野を広げて考えてみてください。
追伸:
経営者の思考の枠を外す方法はこちら

脇田 優美子
