
経営者のあなたは、常に新しい企画について考えを巡らせていることでしょう。
中小企業であれば、経営者のアイディアが、そのままプロジェクトとして立ち上がることが多いのではないでしょうか。
この流れでは、避けられない落とし穴があることに気をつけなければなりません。
経営者ならでは
経営者というのはたいてい前向きで、うまくいくつもりで事業に取り組むものです。
成功するに違いないと信じて突き進むことでしょう。
一旦プロジェクトを立ち上げたからには止めるわけにはいかない、というプライドも当然あるはずです。
そのため、成功するイメージだけを持って、成功する計画だけを立ててしまうのです。
すると、悪い予想や失敗する可能性などを幹部や社員が感じ取ったとしても、なかなか言い出せるチャンスがありません。
経営者に対して社員は遠慮や忖度が働きます。
よほどふだんから風通しの良い社風でもない限り、一部の幹部社員は別として、経営者の計画の危うさを面と向かって指摘するなど、できるものではないでしょう。
こうした危険を防ぐには、どうすればよいでしょうか。
成功しない可能性
ここで大事な考え方があります。
成功することばかりを考えて進むのではなく、あえて失敗の予測もしておくのです。
「失敗を考えるなんて、悲観的で害にしかならない」
とあなたは思うかもしれません。
しかし、実は優秀な経営者ほど、最悪の事態を想定しながら進んでいます。
起こるかもしれない危機や失敗を、先回りして具体化して検証することで、未然に防ぐことができるからです。
プロジェクトに次々と果敢に挑戦しながらも、失敗を予測して回避する仕組みを持っておくことが、結果的に成功確率を高めるのです。
さらに言うと、経営者自身が失敗を予測して備えることも大事ですが、社員と一緒になって、予測される失敗を洗い出してみることも効果的です。
通常であれば、経営者に意見することがなかなか難しい社員たちも、失敗の可能性を予測することが業務であれば、遠慮なく発言することができます。
それによって、本当は気づいている社員がいたのに、プロジェクトがみすみす失敗してしまう、という事態を防ぐことができるのです。
失敗を予測する、というのは決して後ろ向きな発想ではなく、失敗を未然に防ぎ、成功しやすい環境を作る方法なのです。
追伸:
社員がどんどん意見を言ってくれる
熱気のある会社の作り方。

脇田 優美子
