
こうあるべきだ、という自分の正しさは、実は絶対的なものではありません。
その正しさは、あくまでも自分にとっての正しさであり、立場が違えば正しさも違ってきます。
さらに言うなら、正しさは、時代に沿って変わっていきます。
人は合理的であろうとしますが、それは時代背景と密接に関わるものであり、正しさが歴史によっても民族によっても異なることは、世界を見れば明らかです。
どれが正しくてどれは正しくない、と決めつけても、明るい未来は何も生まれないでしょう。
正しさというものを柔らかく受けとめ、そこに矛盾や対立が存在することを、ありのままに受けとめたいものです。
経営者にとっての正しさの扱い
経営者は、自分が正しさを主張したくなった時は要注意です。
相手をやり込めるために、経営者の正しさを一方的に押しつけようとしてはいないでしょうか。
いら立ちや怒りなど、何か別の感情に支配されて、正しさという理屈とすり替えてはいませんか。
経営者が自分の正しさを主張する行為には危うさがともないます。
なぜなら、相手はあなたの正しさの中身にではなく、あなたが経営者だからという理由で反論を控え、あなたの正しさに屈したふうを装うからです。
経営者は、自分の立場を十分に自覚したうえで発言する必要があるのです。
あなたが正しさを振り回すほど、受けとめる相手の心にあなたに対する反感が積もっていくとしたら、その先には何があるでしょうか。
相手には相手なりの正しさがあるのですから、やがてあなたから心が離れてしまうかもしれません。
経営者が社員や取引先の説得に臨む際には、正しさという理屈で押し切ることを避け、別の方法を探すべきです。
対立や矛盾が、互いの正しさの応酬によってすっきり解消することはまずない、と言ってよいからです。
自分の正しさという論点を前面に出すことは控え、かわりに相互理解によって乗り越えることを考えましょう。
追伸:
対立や困難を乗り越えた経営者が
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脇田 優美子
