
あなたも集客や売上アップに関する情報をインターネット上で探したことがあるでしょう。
最新の手法やシステムについての情報がこれでもかというくらい出てきます。
それらの多くはAIやIoTを背景に生まれており、その種類も進化のスピードも甚だしいものです。
そうしたサービスの導入を勧める広告には、いち早く取り入れた企業の成功談が必ず載っています。
経営者がこれらを目にすれば、
「自分の知らないこんな戦術を、すでにいろいろな企業が取り入れて上手くいっているのか…」
「自分たちもすぐにやらないとまずいかも…」
そんな焦りを感じて、心が落ち着かなくなるかもしれません。
止まらない世界
ところで、なぜ、集客や顧客対応などに関する最新システムが次々と出てくるのか、不思議に思いませんか。
少し冷静に考えてみましょう。
そこには、サービスを売る側の都合があるのです。
この事情は、それらを販売している会社からすれば明らかにしてほしくないところでしょう。
しかし、この背景事情こそ、経営者が認識しておかなければいけない点なのです。
背景にあるのは、手法やシステムが細分化し続けている、ということです。
売り手側が提供できる内容がより専門的になり複雑化しているため、細かく切り分けて商品化されているのです。
この複雑になり過ぎているという状況はシステムの話に限ったことではなく、今の社会全般に言えることです。
複雑化につれて細分化している、という流れがあります。
したがって、もはや誰もすべてを知ることができず、すべてを把握することも無理なのです。
世の中のこうした実態をわきまえた上で考えてみると、細分化されたサービスは、今後さらに細分化され続け、より複雑になっていくと見ることができます。
終わりはどこか
すると、もしあなたが何らかの手法を取り入れたとしても、それは細部に対応するものに過ぎず、全体の改善に必ずしも結びつかない可能性があるのです。
これさえやればすべて上手くいく、という一発逆転のような話は、売る側からセールストークとして言われることがあったとしても、現実はそんな甘いものではない、と思っておくべきでしょう。
最新システムをうたうサービスの導入を考えるなら、経営者は俯瞰する目をもって、自社にとってどこまでの効果が見込める手法なのかを見極めてください。
忘れてはいけない視点
戦術を増やせば増やすほど、しくみは複雑になる。
この当たり前の事実を忘れると、待ち受けているのは混沌です。
新たな戦術を外から取り入れる際には、そもそもの戦略を明確にし、その戦略と合致するか否か、基本に立ち返って考えましょう。
むやみに戦術を増やさない。
できる限りシステムを複雑にしない。
いかなる時も、これらの視点を見失ってはなりません。
追伸:
俯瞰して判断できる経営者には
こんな秘密があります。

脇田 優美子
