
経営者でなくとも、人間は焦りがあるとどうしても、早く結果を出したいと考えてしまいます。
特に本業が下り坂だと心が揺らいで、他に目移りしてしまうのは無理もありません。
しかし、本業から軸足を移すなどという決断は、相当の覚悟と見通しを持って行うべきことです。
冷静に考えればわかることなのですが、経営者の本来持っている冷静さを失わせるのが、焦りの最も怖いところです。
テコ入れの間違い
本業にテコ入れをする場合も、焦りからその方法を誤ると、さらなる業績悪化を招くことになります。
本業のテコ入れで注意しなければならないのが、流行に惑わされることと、成功事例に惑わされることです。
世の中が目まぐるしく変わる中で、どのように流行を取り入れたらよいのか、それとも距離をおくのか、見定めることが不可欠です。
流行に乗って大当たりしている他社を安直に真似るのは危険ですが、焦っているとやりがちなのです。
いずれにしても、強みと脈絡のない流行りものでテコ入れするのは、賢明な方法とは言えません。
経営者は、時流に乗ることと流行に乗ることは別であることを、十分わきまえなければならないのです。
強みの誤解
焦りに振り回される経営者は、自社の強みを見る目が曇ります。
物事をありのままに見ることができず、思い込みや決めつけで判断してしまうのです。
本来の強みを見失い、強みでないものを強みと思い違いすることもしばしばです。
はじめから答えありきで、検証もせず突き進んでしまうからです。
早く結果を出したいという焦りは、経営者が自分で自分に仕掛けた罠です。
焦りを感じる時ほど、いったん動き回るのを止めて、心を落ち着けるべきなのです。
そして、自分の状況を客観的にとらえてくれる人の意見を聞くことも必要です。
もし誰の話も耳に入らないとしたら、相当危ないと自覚すべきでしょう。
あの時は我を失っていた、と後から嘆いても、経営者は言い訳できません。
焦りを感じる時ほど、立ち止まって第三者に相談することが重要なのです。
追伸:
焦らない経営者の2つの秘密

脇田 優美子
