
個別化、カスタマイズという切り口が注目されています。
お客様ひとりひとりに応じて最適な提案をする、というビジネスモデルで成功した企業を目にすることも増えてきているでしょう。
しかし、これとはちょうど裏返しの切り口で、企業側で個別対応することなく、結果として商品が個別化された、という現象が出てきています。
お客様自身で
コンビニで販売されていたあるアイスは、容器の上部に少し空間があったため、その空間に購入者がスイーツやフルーツなど思い思いの飾り付けをしてその写真をインスタグラムに投稿し、追随する人が後を絶たずヒットしました。
もし、商品というものは完成度の高い状態で提供するのが当たり前だ、という思いこみがあると、アイスの味も見栄えも良くすることにこだわってしまうでしょう。
しかし、このアイスは見栄えもかなりシンプルで、言ってみれば、飾り付け前のケーキのような印象でした。
ここで、あなたにも思い出してほしいのです。
現在は自己表現欲求が非常に高まっている時代である、ということを。
完全に出来上がったものを提供する、ということは、お客様が手を加える余地が残っていないということです。
企業が選択肢を用意してお客様に選んでもらうカスタマイズ方式も、お客様としては、提案してもらった中から選んでいるだけです。
これはこれで利便性がありますが、それ以上に、お客様が好きなように自分を表現できるほうが、そこに向ける情熱は大きく、それが発信されるとインターネット上でも盛り上がります。
限られたものの中から選ぶ個別化ではなく、同じ土台を使って自由自在に表現できるアイスのデコレーションが流行ったのは、今の欲求の時流によりフィットしていたからでしょう。
商品によっては、未完成であるほうが魅力的になるということです。
最後の仕上げはお客様のセンスで、という提案そのものが、お客様に価値を与えることになるのです。
お客様は光を浴びたがっている
お客様と一緒に作り上げる意識。
この戦略は商品のヒットを生むだけでなく、お客様の感情にその企業に対する仲間意識が芽生えるところも秀でています。
企業がお客様とのつながりを強化できる大きなチャンスまでもたらしてくれるのです。
お客様が独自性を発揮できる余地を作る。
お客様に自己表現のチャンスを与える。
そういう発想でぜひ商品企画に当たってみてください。
追伸:
柔軟な発想ができる経営者は
この方法を知っているのです。

脇田 優美子
