
当たり前ですが、経営者の人間としての強さは、外見からだけではわかりません。
大きな声で話し、表情も厳しく押し出しの強い経営者がいらっしゃる一方で、口調が穏やかで表情も柔らかく、物静かな経営者もいらっしゃいます。
もともと持って生まれた人柄と、経営者としての覚悟や決断力は、必ずしも見た目とは結びつかないものです。
その1つが、軌道修正する勇気です。
一般的に言えば経営者というのはプライドが高く、自ら立てた経営方針や新規事業に誤算があったと気づいても、なかなかそれを認めることができません。
たとえば、新しい方針を現場で実施してみたら売上が激減してしまったという時、その企画は明らかに失敗であり撤退すべきだと、経営者だけでなく社員も気づいているかもしれません。
しかし、経営者の日頃の態度から、進言しても受け入れられるはずがないと社員が感じていると、黙って見ているしかありません。
そうこうするうち二進も三進も行かなくなり、ようやく軌道修正したところで、もはや手遅れで痛い目に遭ってしまいます。
経営者にとって、見栄は邪魔にしかならないのです。
市場の変化が激しい中では、失敗だとわかった時点で素早い軌道修正が不可欠です。
たとえ経営者の肝入りで華々しくスタートした企画であっても、誤りを悟ったら素直に認めることのできる経営者が、本当の意味で強い経営者です。
急な撤退や方針転換で、社内だけでなく、お客様やお取引先などに対して説明や謝罪が必要になると、経営者としては非常に恥ずかしい思いをすることになるでしょう。
お叱りを受けて、経営者が直接お詫びする場面も出てきます。
しかし、その恥ずかしさや悔しさを乗り越え、潔く素早く軌道修正できる経営者だけが、激変する社会でたくましく生き抜いていけるのです。
追伸:
芯の強い経営者は
この2つの力を備えています。

脇田 優美子
