
経営者のあなたは、感情移入という切り口で、自社の商品やサービスをとらえたことはあるでしょうか。
感情移入が自分でも体感としてわかるのは、映画鑑賞です。
もしあなたが、上映も終わる頃になって、クライマックスの部分からいきなり鑑賞し始めたとしたら、ほとんど意味がわからず、したがって興味も感じないでしょう。
たとえ驚くようなどんでん返しがあったとしても、まったくピンとこないでしょう。
映画を最初から観ているからこそ、主人公と、主人公を取り巻く人々の背景がわかります。
そして場面が進むにしたがって、登場人物の誰かにじわじわと感覚が揺さぶられ、いつの間にか感情移入することになります。
個性
映画の登場人物におのずと感情移入していくもう1つの理由は、人物それぞれの個性がはっきりと描かれているからでしょう。
他の人物との性格の違いが、発言や行動によって明確に表現されていて、しかもそれがあなたの共感するようなものだと、そのキャラクターに特別な感情を抱き始めます。
自分が共感できる個性的な人物に、人は感情移入しやすいのです。
物語
映画のクライマックスだけ観てもたいして面白く感じないのは、物語が欠けているからです。
クライマックスに至るまでの紆余曲折をまったく知らずに、主人公や登場人物の今だけを見ても、その人を理解していないので、感情の動かされようがありません。
映画の最後の場面にたどり着くまでに、登場人物たちがどれほどの困難や失敗を乗り越え、何を考え感じながら生きてきたのか、その物語があって、ラストシーンが観る人を釘付けにするわけです。
人が誰かに感情移入する時、そこにはやはり、物語があるのです。
自己投影
物語と個性という要素は、あなたの商品やサービスについても言えることです。。
人間は、物語があり、共感を呼ぶような個性をもった商品やサービスに、感情移入するのです。
感情移入すると、いつもその商品やサービスのことを気にするようになり、身近に感じていたくなります。
その感情がしばらく続けば、やがて一体感が生まれます。
そうなれば、お金を払ってでも、その一体感を感じていたいと思うようになるのです。
あなたの商品やサービスは、お客様が感情移入できる設計になっていますか。
追伸:
感情を揺さぶる経営者の
揺るぎない構え

脇田 優美子
