
経営者のあなたは、自社のルールを細かく取り決めていますか。
ルールが細かいということは、社員から見て決まり事がわかりやすい良さはあります。
しかし、もしそのルールが禁止事項や強制事項ばかりだとしたら、社員はどう感じるでしょうか。
「うちの社長は、社員のことを信じていないんだ」
そう受けとめられても無理はないでしょう。
人は、自分を信じてくれない人のために、わざわざ粉骨砕身しようなどとは思いません。
経営者が社員に対して十分な働きを期待するのなら、まずは経営者の側から社員を信じて、それを表現していくことが先でしょう。
年功序列も信頼のひとつ
たとえば、給与についても、年功序列型の賃金制度が時代遅れだとは必ずしも言えません。
きちんと働けば毎年少しずつでも収入が増えていくことは、社員にとって大きな安心材料になります。
もちろん、誰でも一律にということではなく、個別に対応を要する社員も出てくるでしょう。
また、年功序列型の賃金では、大企業などでかつて問題となったように、50代以降の社員は能力が頭打ちになる場合が多いのに比して、給与が上がり続けてしまいます。
これについては、給与の上昇率を弛めて調整できるでしょう。
ひと昔前の年功序列型ではなく、現在に合わせたかたちで運用していくなら、人手不足や離職の問題が噴出する環境において、年功序列の賃金制度も有効に使えるのではないでしょうか。
入社したらしっかり根付いてもらい、自社の中で社員としても人間としても成長していってほしい、という経営者の考え方を表現することができるからです。
当然ながら、賃金制度の一方で、社員の能力を年々向上させるしくみもつくり、長期的に力を発揮してくれる環境づくりが重要です。
そして、その経営者の思い、自社の制度やしくみの理由を、日頃から社外に発信していくことも必要です。
こうした会社には、安心して長く働きたい、経験とともに着実に成長していきたい、という思いを持つ人が応募してくるでしょう。
これからは、60代だけでなく、働けるなら70代でも現役で働く時代です。
経営者が社員ひとりひとりを大事にする姿勢は、離職率を抑え、社内に多くのノウハウを蓄積することにもつながります。
ルールが経営者を顕わす
賃金制度を含めた社内の規則やしくみを、社員を大切する会社としての表現、という観点から見直してみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、現行の内容とはずいぶん違ったものになるかもしれません。
社員の気持ちを抑え込むような、指示命令的なルールではなく、社員が働くことに喜びを感じられるようなルールを増やせると良いですね。
社員を信頼して大事にする経営者の思いを、社内制度で表現することで、社員ひとりひとりの意欲が変わり、会社の雰囲気全体も変わってきます。
「自分の働いている会社はいい会社だ」
と社員に思ってもらえるほど、社員の働きぶりは良くなっていくでしょう。
ひいては、外から良い人材が集まってくることにもつながります。
経営者のどんなに素晴らしい訓示よりも、制度には経営者の気持ちが反映されていることを、社員は感じ取れるものなのです。
追伸:
経営者の思いの波及効果で
会社は成長し続けます。

脇田 優美子
