
固定観念でものを見てはいけないとしばしば言われるのは、それだけ人間が固定観念に支配されやすいからでしょう。
経営者にとっての固定観念といえば、信念と成功体験の2つが挙げられます。
信念をもつことは大切だ、という思いのためか、これを一生変えてはならないもののようにとらえる人があります。
しかし、少し考えてみればわかりますが、人間は死ぬまで成長し続けるものです。
若かりし頃に抱いた信念が、自己の成長とともにより優れたものに上書きされることは、歓迎されるべき変化だと言えます。
信念を貫くとは、固定観念を金科玉条のごとく推し進めるということではないでしょう。
変わり続ける世の中にあって、変わらないものを見極めることは重要です。
その上で、古い信念にこだわることなく、信念に磨きをかけより高次のものとすることで、固定観念になってしまうのを防ぐことができるでしょう。
成功体験の何が問題なのか
固定観念のうち、成功体験のほうが厄介です。
なにしろ、かつてはその考えによって成功したので、状況よりも成功そのもののほうが記憶に焼きついています。
以前あのやり方でやったら上手くいったという事実が、強く印象づけられているのです。
しかし言うまでもなく、経営者にとって成功体験は罠になり得ます。
事業運営においては、過去の成功の体験そのものを参考にするより、現状とこれからのビジネス環境を見極めることのほうがはるかに重要です。
得意とする方法で前進すること自体は間違いではありません。
しかしながら、経営者も年齢を重ねています。
社会の価値観も変遷しています。
かつて良いとされていたものも今は評価されない、ということが普通に起こっています。
変化に応じる
繰り返しますが、変化の中から変わらないものをすくい取る眼力は大事です。
その一方で、社会は変転し続けていることを十分に認識し、古い成功体験にとらわれないよう心すべきでしょう。
変化に応じることのできない経営はやがて衰退していかざるを得ません。
世の中の状況はかつてと同じではない、今もどんどん変わりながら進んでいる、という当たり前のことを受け入れ、未来を見つめ新しいものを吸収し、古い観念を進化させていきましょう。
追伸:
進化し続ける経営者には
こんな秘密がありました。

脇田 優美子
