
もしかすると、経営者のあなたは今、ビジネスが下り坂で悩んでいらっしゃるかもしれません。
中小企業が淘汰されていくスピードは早まる一方ですから、対応の遅れは文字通り命取りになります。
迅速に手を打つ必要があるでしょう。
そうは言っても、業績が下り坂になると目先の売上をあげることに必死になりがちですが、決してやみくもではいけません。
業績を回復するだけでなく、この先も会社を継続していくには、下り坂だからこそ根本的な部分に目を向けなければならないのです。
本当の強みと良さ
これまで事業を続けてきた中での、あなたの会社の強み、良さといったものを、ここで再度洗い出してみましょう。
現状が下り坂ではあっても、今でもあなたの会社に満足してくれているお客様はいらっしゃるはずです。
そのお客様は、何に満足してくださっているのでしょうか。
まずそこを正確に知ることです。
そして、それ以上に重要なのが、どういうお客様なのか、ということです。
満足しないお客様が去っていく一方で、満足するお客様が残ってくれているということは、彼らの間には違いがあるわけです。
去っていくお客様が不満に思う点を、買ってくれるお客様はむしろ評価してくれているのかもしれません。
この点を明らかにできれば、あとはその満足してくれるタイプのお客様に、もっと多く集まっていただけるように動けば良いのです。
では、現在も買ってくれているお客様は、何に満足してくださっているのでしょうか。
たとえば、価格が高いと言って去っていくお客様がいても、他方で価格に満足しているお客様がいらっしゃるなら、その満足しているお客様は、その価格に見合う価値を得ることができたと感じている可能性があります。
その価値は、具体的にどんなものでしょうか。
お客様を通してそれを知ることが突破口になります。
高めの価格でも満足するお客様は経済的に余裕がある、と決めつけるのは早計です。
必ずしも富裕層ではなくとも、買ってくれているお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこには、お客様の経済状況だけでなく、考え方や価値観の反映があることでしょう。
自社に満足してくださるお客様を集めるとは、つまりは自社と価値観の一致するお客様を探し出す、ということに他なりません。
お客様の年齢や性別、家族環境など、外からわかるような情報だけでは、お客様のことを本当にわかっていることにはならないのです。
お客様が何を好み、何を嫌っているのか、どのような日常を送っているのか、どんな本を読み、どんな人と付き合っているのか、どんな基準を持って生きているのか、何にお金を使うのか…
お客様を細やかに深く理解することではじめて、自社の本当の強みが見えてきます。
お客様は自社を映す鏡。
お客様という鏡を、じっくり覗き込んでみてください。

脇田 優美子
